ぼり@板前ブロガーです!
ぼくは今、『300円(交通費分)頂けたら、あなたのお宅にある余り物で「まかない」をつくります』というキチガイなサービスをはじめた板前です。
このサービスをはじめた理由など、くわしくはコチラの記事に。
聞きたいこととか遠慮なく聞いてください!もれなくブログのネタになるのでめっちゃうれしいです!逆にこっちから質問したいくらいのこともめっちゃあります!
あなたの「こんなこと聞いてもいいのかな?」ってお悩みがぼくにはすっごい大切な情報なので、どしどしご質問お待ちしてます!
*記事中より抜粋
現在、新規の受付は中止しております。
と、いうのが当初の目的だったのですが、どんどんルール無視の依頼が増えてきたので、「この際なんでもいっか」って思って、ルールなくしてみたんです。
そしたらこんなメールが。
やべぇの来た。
知らない料理屋さんにお伺いし、慣れないキッチン、知らない調味料、その場にある何かで料理を作って、そのお店の店主さんに「まかない」を食べてもらうとか怖すぎる。
と、いうかそもそも何で呼ばれたのか。「板前ブロガーとかふざけたことやってんじゃねぇよ」とかって説教されそう…
びびっててもしょうがないので、行ってきました!愛知県豊橋市!
*とてもお腹痛かった
もくじ
第6回出張まかない報告「板前ブロガーが2万円頂いてガチの料理屋さんの料理長にまかない作ってきた」
まず、緊張し過ぎて豊橋に到着するまでに失態を犯しました。
新幹線の自由席で外人さんが(多分英語で)「隣空いてる?」って聞いてきたので、体でオッケー出そうとしたらビールに手がぶつかって盛大にこぼしました。とっさにいつも使っている買い物袋で拭きました。捨てました。気付いたら外人さんはいなくて、車掌さんがでてくる騒ぎになってて、掃除用の文字数 pic.twitter.com/dQa7Gto6Mm
— ぼり@板前ブロガー (@borilog) October 12, 2016
緊張ほぐそうとビールに逃げたのに、幸先悪過ぎます。
お伺いしたのは愛知県豊橋市にある料理屋さん「野彩屋primitive」。
完全予約制のお店で一見さんお断り。いわゆる紹介制のお店です。
ちょっとお店の前で下調べとして、食べログの写真とか見てみたところ、普段のお昼の御膳の写真がでてきました。
お皿の上に小皿いっぱい乗ってる…ムリムリ。そんな独創性ない。
やばい、逃げたい。見なきゃよかった。
一度近所のコンビニまで引き返しましたが、もうここまで来たら逃げられません。一息ついて入店、ご挨拶。
ぼくを呼んだ理由
ぼくを呼んでくださったのはオーナーの坂東さん。一人で店を切り盛りされているそう。雰囲気に自信があります。余計にビビります。
で、そもそも東京から愛知県豊橋市に行くまでは片道で1万円近くかかります。
わざわざ往復2万円の交通費を払って、店の余り物で「まかない」を作らせるというのは、サービスを行っているぼく自身が完全に理解できなかったので、思い切って聞いてみました。
すいません、ここまで来ておいて難ですが、なにが目的で呼んで頂けたんですか?(震声)
え、2万円(交通費)も払ってまかない作ってもらうとか、なんか面白そうだったんで。
(下手なもん作ったら殺される…)
キッチンに立った
*すこぶる緊張してます
そもそも職場以外の調理場に立って調理をすることなんて普段の生活ではまずないので、終始テンパってました。
そして今回使っていいとされた食材がコチラ。
- 炙り〆さば
- カキ
- 子羊の肉
- なんかの白子
子羊の肉をまかないに使っていいってどういう考え方だよ…
結果、サバの中骨やら頭、いわゆる「アラ」があったので、子羊もろもろはそっと冷蔵庫に戻しました。そもそも使い方わかんないので。
で、次にお出汁。昆布とか鰹節探そうとしたらまた変なの出て来た。
黒っ。
なんでも「黒節」という鰹の血合い(黒くてちょっと血なまぐさいとこ)だけを集めた鰹節だそう。
使い方わかんなかったんで、素直に聞きました。情けない…そんなこんなでどうにかお出汁も完成。
次に鯖のアラを焼こうとしたところ「グリル」がないことに気づきました。
もうちょい周りを見渡したらそれっぽいのありました。
左から炭火焼きと藁(ワラ)焼きの道具です。ガスのグリルがない。
慣れないとこで炭起こして訳わかんないことになるのは絶対イヤだ。
ということで「焼く」という工程も断念。
悪戦苦闘すること約1時間。ようやく出来上がりました!!
本日のまかない
「焼く」「揚げる」という工程がまるごとできなかったので、煮物です。
カキとお芋、しいたけ、小松菜を使った治部煮
しいたけは軸の部分も出汁が出るので煮込み、小松菜は別にボイル。小麦粉をふったカキを煮汁の中に入れ、更に小麦粉と水をといたものでとろみをつけました。
治部煮はぼくの地元石川県の郷土料理です。本来はお麩を使ったりするんですが、探すよゆうはぼくにはありませんでした。
鯖と黒節のあら汁
黒節でとったお出汁に、味の出る根菜類と鯖の中骨で更に出汁を煮出してあら汁に。
アラのほぐし身と黒節の生姜煮
お出汁をとった黒節は捨てずに。鯖の中骨などにも少しだけ残っていた身をせっせと集めて、生姜、酒で煮込んで醤油で味付けしました。
実食
そりゃ2万円も払ってるんだもん、写真もとるよね…笑顔が怖いです。
この瞬間はかなり緊張しました。ぼくも食べてたんですけど、正直あんまり味覚えてません。
ぼり:だ、大丈夫でしょうか?
坂東:同じ調味料つかって店の材料使ってもアタリ(味付け)が違って面白いですね
なんとかなった。
まじで助かった…そっと箸置いて「そこになおれ」とか言われて正座させられるかと思ってました。
安心から気も抜けたので、そこから色々とお話をお伺いさせて頂きました。
めちゃくちゃいいお話をお伺いできたので、別の取材記事としてUPさせていただいています。こちらも是非合わせて読んでください!
【若手料理長×板前ブロガー】次の世代に和食を継承していく為に必要な現代の料理人の生き方 – ぼりログ
これまでで一番どうなることかと思った「出張まかない」でしたが、本当に単純に面白がってくださってたみたいでなんとか助かりました。
まとめ
今回改めて感じたことは自分ってホント何も知らないんだなってこと。
「藁焼き」「黒節」「子羊の肉」そしてprimitiveで取り入れている数々の先端の調理技術。これから自分がどういった方向に進んでいくのか。まだまだ手探りですが、いい意味でも悪い意味でも、自分の「身の程」を痛感しました。
で、インタビュー記事にも記述されていますが、今はまだまだ料理人が生き抜くにはなかなか厳しい時代なので、自分の「オリジナル」を追求すること、生きる道を見つけることがすごく大切。
料理の仕事もだんだん機械に取られてきている。だから「自分」にしかできない何かを生み出していかないと、誰にでもできることじゃ生き残れない。
ぼくがやっている出張まかないも、「ふざけんな」って言われたらすぐに潰されるかもしれないけど、こうやって面白がってくれるひとに助けられてなんとか成り立っています。
これも何かの形として残すことができていけば、新たな可能性になるのかもしれない。
と、いうかしなくちゃいけない。
自分で可能性を生み出せるひとになりたいです。
以上、ぼりでした!