ぼりの板前時代

時代は進んでいる。現代の料理人が成功するために意識すべき4つのこと

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はじめまして。ぼくは東京都港区にある加賀料理の料亭、「青山浅田」に務める板前の「森谷 純平」と申します。

ぼくは現在23歳、地元群馬の高校を卒業してから5年間、板前修業を続けています。

5年といえばまだまだ板前の世界の中では「ひよっこ」なんて言われるくらい未熟な立場であることは理解しています。

それでも今、ぼくが感じていることをそのまま書かせて頂きます。

料理だけやってても夢は叶わない

ぼくは将来地元群馬に戻って自分のお店を出すことを「夢」として、板前修業をしています。

そこで強く感じることが「料理がおいしければそれでいい訳じゃない」ということ。

当たり前のこととはいえ、板前の世界にはまだまだ完璧な縦社会が残っていて、お客さんに食べてもらうのではなく食べさせてやるっていうスタンスの人も多いです。

昔ながらの板前さんのお店なんかに行くと、店主の機嫌を損ねたら帰らされるなんてお店があると聞いたことがあるのですが、今はもうそんな時代ではありません。

ここまでのスタンスのお店にはあまり出会いませんが、「上の言うことが絶対」という風潮は板前の世界ではまだまだ割と多いです。

基本的に下の意見は反映されません。自分のやってきたことに自信があるのは大切なことなのですが、「俺もそうやってきたんだ」と言って、「その中にある本質を見ないこと」が当たり前になっている人は現状維持が目標になっています。

思考停止しているんです。

これは別に、昔ながらの板前さんが全員そうだという話ではありません。若くても「先輩に言われた通りにやったのに失敗した」とかって言う人もいます。自分で「なんでこうなったのか?」とかって考えていない。

考えることを辞めて「今までのままでいい」と思ってしまった時点で、言葉はキツいかもしれないけど、どんなに若くても「老害」だとぼくは思います。

常に考えて現状以上を目指すこと。その中でぼくが大切にしていることが4つあります。

1、「これでいい」という味付けなんて存在しない

自分は「レシピ通り、セオリーに従って作ったからそれでいいんだ」というスタンスの人は上の話に当てはまる人です。

どうしたらもっとおいしいと思ってもらえるかということは考えていなくて、この程度でいいやって感覚。

自分の軸を持った上で相手に合わせることが料理の楽しみで、醍醐味だとぼくは思っています。

料理は何をどう言っても対「人」です。

ぼくは料理を通して人と会話をしていると思っています。

だからしっかりとキャッチボールが必要なんです。料理人の一方通行の自己満足で終わってはいけない。

2、応援される人、愛される人であること

個人として同じ実力をつけたとして、最後に成功するかどうかのラインは愛されているかです。

世渡り上手と言えば「八方美人」みたいに捉えられるかもしれませんが、一人で仕事する訳じゃないのだから、どうやったら周りの人と一緒に気持ち良く仕事ができるような環境を作ることができるのかを考えること。これは突き詰めれば味付けや盛り付けにも関わってきます。

おいしい料理をつくることに集中する為にも、おいしいものを食べて欲しいという気持ちの余裕をもつことはぜったいに欠かせません。

人間関係は歯車のようなものだと思っています。だからそれぞれの歯車がうまく回っていないと現場の仕事は思うように進みません。

もちろん現場内の話だけではありません。人間味のある人、愛される人は押し上げられます。

食べログにどれだけ口コミが書かれていても、信用できる友人からの紹介のほうがよっぽど信用できるように、文面以上に対談は意味を持ちます。

そして、そうした「追い風」は多い方がいいのは間違いありません。

3、調理場(職場)だけで自分の料理を納めない

ぼくは料亭板前なので、調理場で料理を作っています。

実際にお客様にお出しするわけではないので、どれだけ気を使っても「架空」の相手に料理を出している状態です。

ぼくは久しぶりに実家に帰省したとき、祖母に手料理を振る舞いました。

料理をはじめたときは何もできなかったけど、4年経った時におばあちゃんに作りました。

鯖の味噌煮も臭みを取るために「霜降り」という作業なんかもして、今の自分ができること程度ですができる限り美味しくなるようにつくりました。

おばあちゃん、母親、おじさんがすごく喜んでくれました。そして、喜んでくれたことが、ぼくにとって喜びでした。

自分がこれまで頑張ってきた「料理」で人を喜ばせられたことが本当に嬉しかった。

こうして自分の誰か「大切な人」に料理を作るときの真剣さや気持ちを、今は職場で作る料理に込めています。

自分の大切な人に料理を作っているというスタンスになってからのぼくは仕事で作る料理に向けての姿勢も変わりました。

それはぼくが仕事場以外でも料理をするからです。

4、視野を広く持つこと

これは料理だけに限った話ではありません。ぼくはできるだけ「板前」だけの世界に視野を狭めないように、意識的に休日は全く違う職種や趣味の人と交流しています。

多くの人の考え方に触れ、常に自分の中に吸収していくことは人として成長することにつながるので、凝り固まらない環境を自分に作ってる感覚。

もちろん気分転換の意味も込めていますが、そうして他の業種の人と喋っていたりするとたまに嫌な気分になることもあります。

それは「なんでそんなにきつい仕事を自分から選んでるの?」とかって聞かれたとき。

こーゆーことを人に聞いてしまう人にはちょっと考えてほしいのですが、仕事を我慢として捉えていませんか?

きついことは前提の上で、その「仕事」をずっと前向きに続けていられるのは単純に楽しいからです。

っていうかそれ以外に理由ってあるんでしょうか。

今の板前が、次の世代に「板前になりたい」と思うような背中を見せること

今の時代、労働時間が長い、きつい、給料が安い。こんなことばかりが板前と聞けば印象に残ってきます。夢がなくなってきている。

でも、ぼくは楽しくてやっています。素晴らしい仕事だと思っています。

だからそんなマイナスのイメージのせいで板前を目指す人が少なくなってきているのが本当に寂しいです。

だからぼくは自分が料理を楽しんでいること、板前に誇りを持っていることを背中で見せて伝えられる人になりたい。

時代は変わってきてます。厳しいことも確かにあるかもしれないけど、それ以上に素晴らしい仕事です。

一人でも多くの人に、板前という仕事に興味を持って頂けたら幸いです。

青山浅田 板前  森谷 純平

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