ぼりの備忘録

料亭を辞めて2年が経ちました。不安から開放されたことは一度もなかった。

板前時代のとっても若い写真でこんにちは。ぼりです。

ちょうど2年前、ぼくは料亭という場所をあとにしました。

「生きるのに最低限必要なお金を個人の力で稼げるようになる」という目標を掲げ、半ば(というかほぼ)勢いで独立してから2年。

今は東京を離れ、地元石川県の能登という地域で空き家を改修したシェアハウスを2棟運営しながら生きています。

いまのぼくのこの生活は、2年前の自分からは全く想像ができませんでした。

今回、ちょうど2年の節目として、ぼくが独立してから現状にたどり着くまでの2年間の素直な感想を、自分自身の振り返りを含めて書きました。

この2年間の素直な感想「不安から開放されたことは一度もなかった」

ぜんぜん前向きな感じの感想ではありませんが、本当に頭に浮かんだ率直な感想を書きました。

当時の目標を達成し、生活に必要なお金を稼げるようになってきても、その上で更に仕事がもらえるようになってきてからも、不安は消えていません。

1年目、目の前のお金の不安。

ずっとお金の不安と戦っていました。(1年目は2年目とは比にならないぐらい苦しんでた)

  • 来月の支払いやべぇ
  • この仕事いつまでもらえるのかわかんねぇ
  • そもそも生活費稼げるだけの仕事がねぇ

そんな不安にばかり駆られていました。

生きていくこと自体が大変なときに「好きなことを仕事にして生きる☆」なんて考える余裕は一切なかった。

だって、来月食えてるかわかんねぇんだもん。

2年目、未来への不安。

食えるようにはなってきました。

やっと自分が注力したい活動を広げていくことも視野に入れられるようになってきた。

お金の不安を越え、やりたいことに挑戦できるようになってきたとき、次に感じたのは自分の名前で戦っていくことへの不安。

個人事業主として、自分の名前で自分を商品にして戦っていく。

自分という一個人が一体何を価値として目の前の人に還元し、対価を頂き続けることができるのか。

自分の能力や考案したサービスに自分で価格をつけ、人に提供して対価を頂く。

「こんな生活を自分はいつまで続けられるのだろうか」

そんな不安を感じていました。

実際にこの2年間で、

  • 仕事としてやったことなのに対価を頂けなかった
  • 急にパッタリと仕事の依頼がなくなる
  • 代わりの人が出てきて、引き継ぎをしてプロジェクトから離脱

といったことは多々ありました。

素直に「不安定だな」って思った。

で、こうした2年間を経てようやく腑に落ちた感覚が「不安から開放されることはない」ということ。

安定なんて、そもそも存在しない。

これは個人事業主になってから強く感じたことでしたが、そもそも高校を卒業してから10年間の会社員生活を続けてきた中で、毎月お給料を頂けていることに安心感はあったけど、それは安定ではありませんでした。

  • 会社員であっても、いつ仕事を頂けなくなるかわからない
  • どんな会社でも、存続し続けるわけじゃない
  • 明日を健康に迎えることができるかわからない

今は、この不安と毎日”ちゃんと”向き合う生活をしています。

この感覚を知れた(気付かされた)ので、個人事業主を体験してみて本当に良かった。

これはきっと仕事だけじゃなく、全てにおいて通じるものなのですが、今目の前にあるものが明日もあるなんて確証は一切ない。

同じ場所で足踏みすることは、現状維持ではなく衰退。

この2年間、立ち止まらずに走り続けたおかげで、ようやく常に会社員時代の稼ぎも得られるようになってきました。

いわゆる「食っていく」だけなら十分な稼ぎはあると思っています。

ただ、全く安心なんてしてないし、そのお金はほぼほぼ全て次の活動に投資してる。

同じ場所で足踏みすることは衰退だということを直に経験したからです。

理由はさっき書いた通りで、今目の前にあるものが明日あるとは限らない。

現状に”安心”してしまうのは、今あるものが明日も目の前にあると思い込んでしまう思考停止状態。立ち止まっちゃいけない。

個人事業主として活動している今、この感覚は会社員生活をしているときよりもずっと身近に感じています。

まじで毎日、「生きてるなぁ」って思う。

けっこう毎日ヒリヒリした生活を送ってるし、プレッシャーに襲われる夜もあるし、くやしい思いもしています。

でも、そんな自分の人生がけっこう好き。

この2年間、とても大変だったなあと思うのですが、充実してる。

不安から開放されることはない。そして、自分は不安と戦ってヒリヒリしてることを楽しめている。

それがこの2年間で得た気付きです。Mなのかな、俺。

自分の天井を自分で決めないほうがいい

明日から、自分が統括を務める1ヶ月の合宿、「田舎フリーランス養成講座in能登」がはじまります。

この記事は、ただただ勢いで独立したぼくが、当時のことを振り返りながら、これから第一歩を踏み出す受講生の方に向けて書きました。

今、もしかしたらぼくが感じていたような不安を感じているかもしれない。

ただ、それはちょっと辛辣に聞こえるかもしれないけど、この記事に書いた通りその不安はずっと消えることはないし、不安を感じている今が正常だと思います。

この事実を踏まえた上で、今自分が生きられるようになったからこそ言えることがあるので、最後に締めくくりとして。

ぼくは、昔から自分のことを本当に”凡人”だなあと思っています。

で、自分で自分は「まあこのくらいが俺の限界なんじゃないかな?」って思ってた。

でも、2年前の自分からは想像もできなかった自分になれたと思っています。

で、めちゃくちゃ失敗してきてる凡人のぼくだからこそ、受講生のみなさんに伝えられることがあると思ってます。

みんながみんなフリーランスになる必要はないし、会社員としての生活もとても素敵だと思います。

フリーランスなんて、ただの働き方の手段のひとつでしかないから。

だから、この1ヶ月間が終わった瞬間から受講した方全員がフリーランスとして独立するかといえば、そうではないと思う。

でも、いなフリは受講した方のなにかの”きっかけ”にはなれると思っています。

ただ、あくまで自分で、自力で、この1ヶ月を”きっかけ”にしてください。

ちゅに。