都内の料亭でつとめている、板前6年の”ぼり”といいます。
これまで和食の世界に入って6年の期間を修行として寮生活を過ごしてきました。
現代でも、板前修業における「寮生活」は割とよくどこにでもみられます。
その中で実体験から感じた寮生活を書き起こします。
もくじ
板前の”寮制度”について
個人料理店だと、お店から近いところで割と賃料が安い部屋を1室、修行の若手用に賃貸を持っているお店が多いです。
もしくは大きい店舗になってくるとお店に併設している場合もあります。(お店の地下とか最上階とか)
これから書くことは、これまで修行してきた上で、寮生活と一人暮らしを両方経験した上での実体験をもとにした視点です。
板前の寮生活におけるメリット
まずはいいところだけを切り取って紹介します。
板前修行における寮生活のメリット
当然ながら、住まいを自分で借りなくていいという最大のメリットが存在します。
その上でのメリットがコチラ。
- 家賃、水道、光熱費がかからない
- ミス、漏れがあった時にすぐに対応ができる
- ギリギリまで寝ていられる(これがかなりでかい)
どれも実際に体験すると感じるのですが、本当に助かります。
また人にもよりますが、ただ修行先に向かっているという感覚とは違ってお店に対しての「当事者意識」を常に持っていられるので、意思が揺らぎやすかったりする人は思い切って寮に入ると、余計なことを考えずに「板前修行」に集中しやすくなります。
*お店によっては「寮費」として1万円くらいお給料から差し引かれるお店もあります。
お店側のメリット
これだけのメリットがありますが、もちろんお店側にもちゃんとメリットはあります。
例えばお店側が3人若手を雇おうとしたとき、全員が一人暮らしをできるほどのお給料はあげられない。
そんなときにこそ寮にまとめて入ってもらえば色々お店にとって都合がいいんです。
- 終電の時間が関係ない
- お店に住み込んでくれると防犯上安心できる
- 天候や交通面での遅刻、欠席がなくなる
- 若手がお店のルールや備品の場所などを理解するのが早い
若手が修行やお店のことに集中しやすい環境を作ることができるというところがかなりの強みです。
寮生活におけるデメリット
続いてデメリットについて。ざっくりと言ってしまえば「だるい」にまとめられます。
若手側のデメリット
- 仕事と生活が混同するので、意識の切り替えが難しい
- 友人を呼んだりできない
- 修行先をやめると同時に住まいを失うことになるので、簡単には辞められなくなる
- だいたい相部屋(ぼくはしばらくキッチンで寝てたこともあります)
- 先輩とも相部屋(仲が悪くなるとかなりきつい)
全体的に見て、住まいや人間関係などが仕事関係から切り離すことができないところが割とストレスに感じることも多いかもしれません。
寮生活は結局「慣れ」だけど、事前確認だけはしといたほうがいい。
板前修行に入る場合、お店自体に求人を貼り出しているところも多いですが、いざ話を聞いてみたり、入店してみたら違ったということも少なくありません。
板前修行といっても生活をしていくことに変わりはないので、自分自信も働きやすい環境を選ぶことは今後のために必須の作業です。
「修行なんだから飛び込みでどんな事にも辛抱するっ!!」
なんて最初は勢いで頑張れるとは思いますが、ぼくは3ヶ月くらいで1度完璧に心が折れました。
その上での話ですが、これまでサラリーマンをしていた人や、共同生活に慣れていない人はちょっと苦労するところもあるかもしれません。
だけどその分集中して仕事のことだけを考えられるので、個人的には寮生活はオススメです。
寮制度があるかどうか、もしくはお給料がどれくらい貰えて、月にお休みはどれくらいあるのか。個人の料理店は勤めはじめるまであんまり教えてくれなかったりします。
ただ、これは本当にしっかり確かめておかないと後で後悔することになります。
ぼくは飲食業界に入る人にも、転職をする人にも、必ず転職エージェントを介すことをオススメしています。
エージェントを介すことで、自分とお店の間に入ってお互いの希望を取り持ってくれるので。まずは自分の要望をしっかり伝えて、その上でお店側とすり合わせることが重要です。
お店と自分、お互いにとって「こんなハズじゃなかった」と思うことにならないよう、「入り」は慎重に行いましょう!
こうしてキャリアアドバイザーを挟んでお店の状況を聞く事や労働条件を調べる事が今まで本当にできなかったからこそ、これからチャレンジをする人にはせめて「修業先を選ぶ」権利を持ってほしい。
一歩踏み出すのであれば自分の趣向に合った「働き方」を探す事からしっかりと考えてみてほしい。
以上、ぼりでした!