ぼりの備忘録

社会人歴10年。5回の転職をした今もずっと心に残る、新卒の勤め先を辞めるときに言われたひとこと

ぼくは現在の板前修行に至るまで5回の転職を行ってきました。

板前になってからも修業先が変わったことはあるのですが、高卒初めての就職先であった地元石川県の小さな工場をやめる時に言われた、今も胸に残る一言を自戒として書き起こします。

 はじめての転職、ただの勢い。

当時のぼくには夢というものは特になく、普通の中年になって町工場の主任かできれば係長になれたら十分かな〜なんて思っていました。

週1回でも近所の居酒屋で「おすすめある?」とかって言う常連客になって、飲み仲間と楽しく暮らしていけたらと。

ところが転機が2年目にしてやってきます。

1つ年下の新入社員だった男の子が社長と喧嘩して作業着を机に叩きつけて辞めていったんです。

今考えれば、勢いに任せた反省するべき行為だったのかもしれませんが、当時のぼくには革命でした。

 

めちゃカッコイイと。

 

完全に影響されたぼくはその3ヶ月後に後を追い、作業着を投げつける勇気はないので退職願いとともに人事の方と面談を行いました。(真面目)

とくに問題社員でもなんでもなかったぼくは、人事の方から思いとどまるようにいわれました。

そのときぼくは「このまま外の世界を知らない視野の狭い人間になったらきっと後悔すると思うからいろんな世界をみてみたい」という理由で退職を願い出ます。

この判断は今となっても全く後悔していません。

この判断をしていなければ、ぼくは今も実家を離れることなく、東京も大阪も「テレビで見るだけの土地」だっただろうし、新しく出会った人たちのおかげで成長した今の自分にもなれていないと思っています。

でも、そのときに人事の方に言われた言葉は今もずっと心に残り続けています。

ずっと心に残り続けるひとこと、「それでいいの?」

『確かに「転職する」という世界を見ることはできるかもしれないけど「1つの事に向き合い続けた」という人生を放棄するという事だからちゃんと考えて決断するように』 と。

その人事の方はすでに60才を越えていて、会社の相談役のかたでした。

これまでも工場の仕事にひたすら向き合い続けてきたひとです。

ずっとひとつのことに向き合い続けてきたその人だからこそ言えたことで、重みはズッシリ乗っていました。

結果、その時すでに佐川急便に内定していた私は退職届けを取り下げる事はなかったのですが、今も何かを決断する時の基準として大きく役立っています。

新しい事に挑戦して得られるものと同じ分、大きな決断をすればするほど、失う、選べなくなる。

みなさんは大きな判断をするときってどうやって考えますか?

「納得がいかないのであれば転職を考えるべき」だという考えもわかるし、「今を変えるには体力が必要だからすごい行動だ」というのも分かります。

体を壊してまで現状にしがみつく必要はないと思うし、何かに固執してしまうと視野が狭くなってしまうのは事実です。

ただ、転職する事自体が最近はそこまで大変なことではないかもしれませんが「1つのことをやり抜くことについての美学」も同じくらい大切にするべきだとぼくは思います。

「変える」も「続ける」もただの手段。

最初は大きかった目標がだんだんと薄れてきたのか、仕事以外のことでいろいろと問題が起きてしまっているのか。ひとりひとりで抱える問題は全く違います。

だから現状を変える事を考える。

それ自体は何も悪くないことだと思います。でも「なんための転職なのか」ってところにはしっかりと目を向けないと、その先どこに向かえばいいのかわかりません。結局同じ壁にぶつかります。

現状を変えるために転職するというのはたしかにわかりやすい行動です。

でも、現状に向き合って自分の成長を見守るというのもぼくはひとつの「行動」だと思っています。

「現状を変えるための行動」とただ単に「物事に向き合っていないこと」では全く意味が違います。

自分が本当にやりたいことはなんなのか、そのために必要な行動は「変える」ことなのか「続ける」ことなのか。

それにちゃんと向き合うことで自分の見失いかけている「目標」に近づけるのではないかと思います!

以上、ぼりでした!